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外国人向けホテルに求められることは?
2024年08月28日
こんにちは。
ゲストハウス・民泊運営代行会社「No.1デジタルソリューション」のミサワです。
2024年は、コロナ禍による数年間のインバウンドの落ち込みから一転、訪日外国人旅行者数が回復しています。
2024年6月の訪日外国人旅行者数は、約314万人と単月として過去最高を記録しました(※)。
外国人観光客の日本滞在に無くてはならないものが宿泊施設です。
実際に訪日外国人はどのような宿泊施設に泊まっているのでしょうか。
今回は近年のデータを基に、外国人観光客の傾向、宿泊施設にどのようなサービスが求められているのかなどをまとめています。
(※)参考資料:国土交通省「観光の現状について」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/dai21/siryou.pdf
このページの目次
1.訪日外国人観光客のデータをチェック 2.訪日外国人はどんな宿泊施設を利用している? 3.外国人向けホテルに求められるサービスは? 4.外国人観光客が日本滞在で楽しみにしていることは? 5.まとめ│外国人観光客のニーズに寄り添った宿泊施設運営を |
訪日外国人観光客のデータをチェック
まずは日本に訪れる外国人について、どれくらいの人がどこから来ているのかを調べてみました。
国土交通省・観光庁の観光統計「宿泊旅行統計調査(2023年・年間値【確定値】)」を基に、2023年に訪日した外国人旅行客についてまとめます。
外国人延べ宿泊者数について
訪日外国人の宿泊者数は1年間でどれくらいなのでしょうか。
国土交通省・観光庁のデータ(※1)によると、2023年の外国人延べ宿泊者数は1億1775万
人泊。
コロナ禍により、2020年~2022年は訪日外国人観光客数が大幅に減少しましたが、コロナ
禍前の2019年から+1.8%と、延べ宿泊者数は増加しています。
ちなみに、日本人を含めた延べ宿泊者数は、6億1747万人泊。
延べ宿泊者全体に占める外国人宿泊者の割合は19.1%です。
出典:国土交通省・観光庁の観光統計「宿泊旅行統計調査(2023年・年間値【確定値】)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001751247.pdf
2023年の外国人宿泊者数はコロナ禍前の水準に戻るだけでなく、やや増加。
そして日本国内の延べ宿泊者数の約19%を占めていることが分かります。
訪日外国人観光客はどこの国から来ている?
「訪日外国人観光客」といっても、アジア、北米、ヨーロッパなど、さまざまな地域から訪日しています。
実際にどこの国から日本に来ているのでしょうか。
観光庁「令和6年版観光白書について」の資料(※2)によると、外国人観光客の国籍・地域別の内訳は、第1位:韓国、第2位:台湾、第3位:中国、第4位:香港、第5位:米国。
地域別に見てみると、アジア(東アジア・東南アジアを含む)が77.8%を占めています。
出典:観光庁「令和6年版観光白書について(概要版)【第Ⅰ部】日本の観光の動向(訪日外国人旅行者数)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001748122.pdf
訪日外国人はどんな宿泊施設を利用している?
訪日外国人の方々は、どのような宿泊施設を利用しているのでしょうか。
国土交通省・観光庁のデータ(※3)からチェックしてみましょう。
外国人が利用している宿泊施設
データ(※3)の「宿泊施設タイプ別延べ宿泊者数と一人当たり平均宿泊数(令和4年1月~12月)で、外国人が利用している宿泊施設のタイプを見てみると、下記の結果でした。
1位:ビジネスホテル(694万人泊)42.06%
2位:シティホテル(618万人泊)37.45%
3位:リゾートホテル(121万人泊)7.33%
4位:簡易宿所(118万人泊)7.15%
5位:旅館(92万人泊)5.58%
6位:会社・団体の宿泊所(3万人泊)0.18%
このデータはビジネスによる訪日外国人も含んでいるため、観光目的のみのデータではありませんが、「ビジネスホテル」「シティホテル」「リゾートホテル」で86.84%を占めています。
ホテルの利用者の割合が圧倒的に高いことが一目瞭然です。
訪日外国人はどの地域に泊まっている?
データ(※2)の、都道府県別延べ宿泊者数・外国人延べ宿泊者数から、訪日外国人がどの地域に宿泊しているか見てみましょう。
1位:東京都(678万人泊)41.1%
2位:大阪府(213万人泊)12.9%
3位:京都府(141万人泊)8.6%
4位:北海道(85.7万人泊)5.19%
5位:千葉県(85.2万人泊)5.16%
1位の東京都の延べ宿泊者数が40%を超え、他の地域と大きく差をつけています。
また、上位5都道府県で全体の72.95%を占めています。
出典:国土交通省・観光庁「宿泊旅行統計調査報告(令和4年1~12月)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/content/001626152.pdf
東京都・大阪府で宿泊した外国人の国籍データは?
多くの訪日外国人が宿泊している東京都や大阪府。
外国人の国籍の構成についてもデータ(※3)の「都道府県別、国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数構成比(令和4年1月~12月)」から見てみると、東京と大阪ではランキングが異なる結果となりました。
東京都に宿泊した外国人の割合をランキングにすると、下記の通り、1位が米国でした。
1位:米国16%
2位:韓国 12%
3位:欧州 9%
4位:中国 8%
5位:台湾 6%
大阪府の場合は韓国が1位!
アジア地域の外国人の割合が高い結果となりました。
1位:韓国 25%
2位:香港 9%
3位:中国 8%
4位:米国 7%
5位:台湾 7%
ちなみに京都府は、1位:米国15%、2位:欧州12%、3位:韓国11%。
欧州の訪日外国人からの人気の高さが伺えます。
(※1)国土交通省・観光庁の観光統計「宿泊旅行統計調査(2023年・年間値【確定値】)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001751247.pdf
(※2)観光庁「令和6年版観光白書について(概要版)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001748122.pdf
(※3)国土交通省・観光庁「宿泊旅行統計調査報告(令和4年1~12月)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/content/001626152.pdf
外国人向けホテルに求められるサービスは?
訪日外国人観光客は、韓国・台湾・中国などのアジアをメインに、北米・欧州など、さまざまなエリアから日本に来ています。
海外から訪日する外国人にとって快適に過ごせるホテルとはどのようなものでしょうか。
ここでは、外国人が「日本の旅行中に困ったこと」に関するデータを基に、外国人向けホテルに求められるサービスについてまとめていきます。
まずは、観光庁による「日本の旅行中に困ったこと」に関するデータ(※4)をチェックしてみましょう。
1位:「ごみ箱の少なさ」30.1%
2位:「困ったことは無かった」29.7%
3位:「施設等のスタッフとのコミュニケーション」22.5%
4位:「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」13.4%
5位:「公共交通の利用(乗り場、経路の情報、乗換方法等)」12.8%
6位:「無料公衆無線LAN(フリーWi-Fi)環境」9.6%
7位:「鉄道の割引切符(Japan Rail Pass含む)(利用できる範囲、入手方法等)」7.4%
8位:「クレジット/デビットカードの利用」7.0%
1.多言語への対応
外国人観光客にとって、言葉の壁は大きな障害となります。
「日本の旅行中に困ったこと」に関するデータ(※4)でも、「施設等のスタッフとのコミュニケーション」22.5%(3位)、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」13.4%(4位)となっていました。
宿泊施設において、多言語に対応できるスタッフや、各国語での案内が整っていることは、安心して宿泊できる重要な要素です。
フロントデスクや館内の案内、緊急時の対応などで、英語やその他の言語に対応することが求められます。
2.文化的な配慮
外国人観光客のなかには、特定の文化や宗教に基づいたニーズを持つ方もいます。
例えば、宗教的な食事制限に対応したメニューや、宗教的な礼儀に配慮したサービスがあると、より快適に過ごすことができます。
多様な文化的背景を尊重したホテルであることは、外国人観光客にとって大切です。
3.便利なアクセスと観光情報
外国人観光客が快適に旅行を楽しむためには、ホテルから観光地や公共交通機関へのアクセスが良好であることもポイントです。
日本の公共交通の利用方法(乗り場、経路の情報、乗換方法等)が分からず、困ってしまう外国人観光客も多いので、ホテルから最寄り駅までの多国語での案内も大切です。
観光情報の提供、観光ツアーの手配などに対応できる専用のカウンターを設置することで、外国人観光客の満足度向上につながるでしょう。
4.清潔さと安全性
ホテルの清掃状態やセキュリティ対策が整っていることは、外国人観光客が安心して宿泊するための基本条件です。
清潔な環境と安全な施設は、日本人の宿泊客にとっても重要ですが、とくに外国人観光客は自国とは異なる環境で過ごすということもあり、清潔さや安全性を気にされる方が少なくありません。
5. Wi-Fiの完備・デバイス関連備品の充実
生活に欠かせないスマートフォンやノートパソコン。
旅行中であれば、旅先の情報収集にも必要不可欠です。
滞在中のホテルで快適に過ごしていただくためにも、無料の高速Wi-Fiが完備されていることは必須です。
また、コンセントの種類や電圧が日本と海外では異なる場合があるため、変換プラグや充電設備の提供も喜ばれるサービスです。
アンケートからも分るように、日本人は気にならないこと・困らないことでも、訪日外国人旅行者が困っていることは多々あります。
これらの困りごとへの配慮ができているホテルは、外国人の快適な滞在につながり、高い評価を得られることでしょう。
(※4)観光庁 令和5年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001747174.pdf
外国人観光客が日本滞在で楽しみにしていることは?
日本に訪れる外国人観光客の方が、滞在中に楽しみにしていることとは何でしょうか。
ここでは、観光庁の「訪日外国人の消費動向(2023年 年次報告書)」のデータ(※5)を基に見ていきたいと思います。
訪日前に期待していたことは?
観光庁のデータ(※5)における「訪日前に期待していたこと(複数回答)」によると、下記の結果が出ています。
1位:「日本食を食べること」83.2%
2位:「ショッピング」60.9%
3位:「繁華街の街歩き」51.7%
4位:「自然・景勝地観光」49.4%
5位:「日本の酒を飲むこと」34.9%
「日本食を食べること」「日本の酒を飲むこと」と、飲食に関する項目が2つもランク入りし、日本での飲食を楽しみにしている外国人が多いことが分かります。
滞在中にしたこと&次回したいこと
同じく観光庁のデータ(※5)から、訪日外国人観光客の「今回したことと次回したいこと」というデータに注目してみました。
【今回したこと】
1位:「日本食を食べること」98.1%
2位:「ショッピング」84.3%
3位:「繁華街の街歩き」74.5%
4位:「自然・景勝地観光」62.8%
5位:「日本の酒を飲むこと」51.7%
6位:「美術館・博物館等」32.8%
7位:「日本の歴史・伝統文化体験」31.8%
8位:「温泉入浴」28.5%
【次回したいこと】
1位:「日本食を食べること」67.9%
2位:「温泉入浴」48.2%
3位:「自然・景勝地観光」45.9%
4位:「ショッピング」44.3%
5位:「旅館に宿泊」30.2%
6位:「四季の体感」27.3%
7位:「日本の歴史・伝統文化体験」26.7%
8位:「繁華街の街歩き」26.5%
8位:「日本の酒を飲むこと」26.5%
「訪日前に期待していたこと」で1位となった「日本食を食べること」は、今回したこと、次回したいこと共に1位。
「今回したこと」のランキングは、「訪日前に期待していたこと」の1位~5位まで全く同じでした。
一方で「次回したいこと」は、「温泉入浴」「自然・景勝地観光」がベスト3入り。
「旅館に宿泊」「四季の体感」が新たにベスト8入りしています。
この結果から、最初の訪日は、ホテルに泊まって日本食やショッピングを楽しみ、「次の訪日では、旅館に泊まって温泉や自然、四季を体感してみたい」という気持ちが芽生えてくる様子が想像できます。
(※5)観光庁の「訪日外国人の消費動向(2023年 年次報告書)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001742979.pdf
外国人向けホテルに求められることは?
まとめ│外国人観光客のニーズに寄り添った宿泊施設運営を
今回は、観光庁のさまざまデータから、訪日外国人観光客の傾向やニーズ、日本での体験についてまとめました。
外国人観光客の国籍・地域別の内訳は、第1位:韓国、第2位:台湾、第3位:中国、第4位:香港、第5位:米国。
地域別に見てみると、アジア(東アジア・東南アジアを含む)が77.8%を占めています。
そして、外国人観光客が宿泊先として選ぶのは、1位:ビジネスホテル、2位:シティホテル、3位:リゾートホテルと、上位3位がホテルです。
民泊などの簡易宿所は4位で、旅館は5位でした。
日本への旅行が初めての外国人観光客の方などは、旅館に宿泊することへのハードルが高いかもしれませんが、観光庁のデータ(訪日外国人観光客が次回の日本旅行でしたいこと)では、約30%の方が旅館の宿泊を挙げています。
外国人向けホテルとしては、スタッフの外国語でのコミュニケーションや、外国人向けの案内など、ストレスなく観光を楽しめる環境が求められますが、ホテル以外の宿泊施設であっても、外国人向けのサービスがしっかり提供できていれば、外国人観光客に選ばれる宿泊施設になり得るでしょう。
また、外国人観光客は日本での飲食を楽しみにしている方がとても多いので、日本食の案内も欠かせません。
そして、一度日本を観光している外国人観光客の方は、「次回は、温泉入浴や自然・景勝地観光、四季の体感をしたい」と感じている方が多いというデータがあります。
このような体験をするために、都心のホテルではなく、地方の簡易宿所や旅館を選ぶ可能性も多いにあります。
日本での滞在を快適に楽しんでいただけるように、外国人観光客のニーズをしっかり汲み、宿泊施設運営に生かしていくことが大切です。
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